(和蝋燭の灯りに照らされた空間で、山口源兵衛さん収集の染織の逸品もご覧いただきます。)
日時 2017年4月28日(金) 開場18:30 開演19:00〜
第1部 源氏物語 女房語り「夕顔」 山下智子 解説30分 女房語り 30分
第2部 鼎談「もののあはれと幽玄」 1時間30分
河村晴久(能楽師)、山口源兵衛(誉田屋源兵衛10代目当主)、山下智子(女優)
コーディネーター 佐伯剛(風の旅人 編集長)
◉入場料:無料 ◉定員 30名程度
<同志社大学創造経済研究センター 伝統文化の現代的創造研究会主催>
◉場所 誉田屋源兵衛 本店 京都府京都市中京区烏帽子屋町489
地図⇨http://www.kondayagenbei.jp/about.html
*誉田屋源兵衛は京都室町で創業280年を迎える「帯の製造販売」の老舗。現在は十代目である山口源兵衛さんが、代々受け継がれてきた技術とともに、「革新」の精神をもって、着物業界に次々と作品を発表しています。公式ページ⇨
参加希望の方は、下記フォーマットに必要事項をご記入いただき、お送りください。
*現在、満席となっており、これからのお申し込みは、キャンセル待ちとなります。
日本人は、よく無宗教と言われます。しかし、仏教や神道という形式には抵抗を感じても、”もののあはれ”や、”幽玄”は、多くの日本人が、素直に受け入れることができます。
特定の宗派が説く教義だけが宗教なのではなく、この世の苦しみからの救済を願い、この世への執着を鎮めることが宗教であるならば、”もののあはれ”や、”幽玄”もまた、宗教と等しい精神活動であると言えるでしょう。
源氏物語をはじめ、日本が独自に生み出した文化は、その精神活動に基づいた創造活動です。
そして、その精神性の高さは、近代合理主義の行き詰まりを感じている欧米人も、注目し続けています。
「登場人物の性格が繊細な筆致で描き出されているばかりでなく、様々の、もっとも洗練されたかたちの愛の情熱が、深い理解をもって表現されていた。ヨーロッパの小説がその誕生から三百年にわたって徐々に得てきた特性のすべてが、すでにそこにあった。「戦争と平和」、「カラマーゾフの兄弟」、「パルムの僧院」、そして「失われた時を求めて」などと並んで、人類の天才が生み出した世界の12の名作のひとつに数えられることになるだろう。」レイモンド・モーティマー
日本文化で、とくに顕著なのは、観念を超えていく力です。能の場合も、風姿花伝など極めて明確な言語世界がありますが、論理を踏まえながら論理を超えていこうとする精神的運動は、禅や武道、俳句などにも流れています。
人間の尊厳や生死の問題において、私たち現代人は観念的に整理しようとして堂々巡りに陥りますが、源氏物語は、1000年も前に、そうした観念の苦しみを究極まで描き出しながら、その苦しみを超える道として、”もののあはれ”という物の宿命に寄り添っていく精神を描きました。そして、その後の日本文化のなかで、”もののあはれ”は、幽玄や侘び寂びなど、状況に応じて、深められ、磨かれていきました。
残念ながら、明治維新の後、その精神は後退してしまいましたが、今再び、その精神を見直す時期にきています。情報があふれ返る世の中で、人は、周りの情報の影響を受けすぎてしまい、自分の生を生きているのかどうかわからなくなっています。そして、情報に踊らされて際限なく消費生活を繰り返し、その莫大な集積が、地球環境を大きく損なうところまできています。
自分の生を取り戻すためには、情報を削ぎ落として命の本質に立ち返る必要があるでしょう。
命の本質とは、生者必滅会者定離。形あるものは必ず消え、命あるものは必ず死に、必ず別れはあること。ただし、それを観念で主張されても心には届きません。この身が滅ぶことは承知で、身命を賭して命の本質を伝えようとする命懸けの仕事だけが人の心を動かします。
源氏物語や能もそうですが、織物や染物も、命懸けの仕事でした。
「草木は人間と同じく自然により創り出された生き物である。染料になる草木は自分の生命を人間のために捧げ、色彩となって人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛(なさけ)をもって取扱うのは勿論のこと、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって、染の業に専心すること。仕事を与えられた喜び、その喜びに祈りの心を添えて、与えられた仕事に自己の力の凡てを、捧げること。」(前田雨城)
長い歴史を通して、日本人は、この国の自然風土に育まれた精神で、命の本質にそったものを創造してきました。それは、「神の国」とか「美しい国、日本」といった広告や政治的に用いられる仰々しいスローガンやキャッチコピーとはかけ離れていていて、謙虚に、敬虔に、地道ながら黙々と継続する行為とともに深められたものです。
このたびは、直接的に、物を見たり触れたり声を聞いたりするリアルな場を通して、あらためて日本文化の本質を五感で感じる時空を作っていきたいと思います。
<同志社大学創造経済研究センター主催 伝統的文化の現代的創造研究会>
日時 2017年1月28日(土) 開場14:00〜 開演14:30〜
場所 誉田屋源兵衛本店 住所:京都府京都市中京区烏帽子屋町489
地図⇨http://www.kondayagenbei.jp/about.html
*誉田屋源兵衛は京都室町で創業280年を迎える「帯の製造販売」の老舗。現在は十代目である山口源兵衛さんが、代々受け継がれてきた技術とともに、「革新」の精神をもって、着物業界に次々と作品を発表しています。公式ページ⇨
第1部 源氏物語 女房語り 山下智子
玉鬘の帖「源氏、正月の衣装をととのえて方々に贈る」
解説30分 女房語り 30分
第2部 誉田屋源兵衛10代目 山口源兵衛さんの語り。(織物、布について)。
西村卓さん(同志社大学経済学部教授)の語り。(職人技の伝承について)
第3部 日本文化、その可能性についてのシンポジウム
西村卓 山口源兵衛 山下智子
(コーディネーター 佐伯剛)
<入場料 無料>
1月28日(土) 午後12時より、現地にて予約を受け付け、整理番号をお配りいたします。限定50名で打ち切らせていただきます。
*午後14時に、整理番号順に会場へとご入場いただきます。
前日まで電子メールでの問い合わせは受付ますが(kazesaeki@gmail.com)、当日、電子メールおよび電話での問い合わせは、当人が会場準備に入るため、受け付けません。道順その他、ご自身でお調べくださいますようお願いいたします。
<テーマ>
源氏物語は、古代文学というより、欧米のルネッサンスにも該当する日本の精神文化の革新物です。物忌をはじめ、凶事災厄を避けるために人間生活や言動の隅々まで規制されていた時代、紫式部は、主体的に生を切り開いていくタイプのヒーローを作り上げました。
人智を超えた何ものかに縛られていた人間精神を解放し、自立していく物語。ここから中世文学が枝分かれしていきました。
民衆の生活や感情を生き生きと描く「宇治拾遺物語」などの説話物語、主体的に生きて運命に翻弄される英雄たちの無常を描く「平家物語」などの軍記物語、この世は幻であると、現実に苦悩しながらも現実の諸事にとらわれない境地をめざす「方丈記」などの隠者の文学、そして、もののあはれを深化させた幽玄を美的理念にした「能」など、中世文学が次々と生まれていったのです。さらに中世文学の影響を受けて近代文学も育っていくのですから、そのルーツにある「源氏物語」は、日本人の精神形成において、きわめて重要な位置にあります。
しかし、精神の解放や自立とは好き放題にやればいいということではないということ、これは現代にも通じるテーマでもありますが、1000年も前に、紫式部は考えに考え抜いていました。
縛りがなくなれば、なおさら自分自身の良心が大事になる。だから、良心的であればあるほど悩みは深くなる。規則や迷信に従う方が、考える必要もなく悩みも生じない。源氏物語は、自由奔放で華麗な物語のように思われがちですが、実際には、悩める人の物語です。だから、現代を生きる私たちでも、1000年の時空を超えて、登場人物に対して、共感や反発を覚えるのでしょう。
こうして、紫式部が豊かに描き出した人間の実存的な悩みは、中世において、もののあはれ、侘び寂び、粋といった精神的態度へと昇華されていきました。
世界で最も天災の多い土地で、宿命に耐え、運命に翻弄されたり、運命を自らの意思と行動で転換させたりしながら、自らの使命を全うしようとした日本人の精神的態度は、今という難しい時代に、とても重要になってきています。 源氏物語を筆頭に、日本文化を捉え直す機会を設けるのは、そのためです。
日本の歴史や伝統を守るという言葉が使われる時、ともすれば形式主義に陥った組織的な活動が展開され、組織が生き延びるための策を弄し、組織の縛りを強めて従属を強いることが頻繁に行われます。それは、政治だけでなく、文化活動においても同じです。 源氏物語に限らず、本来の日本文化は、まさにそうした形式主義に陥ることが精神の退化につながり、道を外れたものになるとわきまえていました。
「新しい様式が成立した時のものが、精神的にもいちばん充実している。これはもう、生まれ出るための総ての活力が籠められておって、ようやくその表現を見付け出して、ぱっと出て来たという、だからいちばん力強くて立派。それから後はいわばマンネリズムになる。退化の歴史になる。」(白川静)
自分ごととして歴史を振り返ることなく、未来のことばかりを夢想していても、それは、コピーのコピーというマンネリズムを繰り返しながら、無自覚のうちに、退化の歴史に陥っているだけなのかもしれません。
だからこそ、私たちは、常に、原点に立ち返る必要があります。伝統的文化の現代的創造は、現代の世相に合わせるのではなく、新しい様式が成立した時に遡ることで、初めて可能になるのでしょう。 1月28日を第1回とし、今後も「源氏物語」を核に、場を重ねていきたいと思います。
日時 2015年7月11日(土)
午後6時〜 開演は午後5時30分〜
場所: IMPACT HUB
KYOTO(虚白院)→
〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町682 電話:075-417-0115
*京都駅から地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」で下車。1番出口から南(今出川通、同志社大学方面)へ歩き、Daily Yamazakiを超えてすぐ。徒歩3分程度。
語り手:稲葉俊郎(未来医療研究会主催):佐伯剛(風の旅人 編集長)
参加費 A:1000円・・風の旅人復刊第5号を購入済みの方
B:2000円・・風の旅人復刊第5号を購入されていない方
風の旅人の編集テーマでもありますので、買い求めいただければ幸いです。→
● 風天塾への参加希望の方は、こちらよりお申し込み下さい。→
稲葉俊郎さんは、現在、東京大学医学部付属病院に循環器内科医として勤務。心臓を内科的に治療するカテーテル治療や心不全が専門。往診による在宅医療も週に一度行い、心臓以外の病気も全て診ています。また、あらゆる代替医療や各種ヒーリングも満遍なく勉強しており、登山やクライミングが趣味で、東京大学医学部山岳部の監督、涸沢診療所所長(夏季限定の山岳診療所)も兼任し、夏には山岳医療も行っています。科学、伝統医療、心理学、精神医学、芸術、民俗学、宗教、農業、精神世界・・・など、現代医療に色々なものを自由自在に結び付けつけていくことを日々考えており、未来医療研究会を主催しています。近年は、日本の芸能には、からだやこころの智慧がすべて凝縮されているととらえ、医と日本の伝統美の世界を結びつけて考えるため、自らも能楽の稽古を重ねています。
<第5回 風天塾の趣旨>
近年、西洋の科学的医療だけで人を治し救うことができるのかと、様々な問題意識をもち、身体の問題と心の問題を切り離さず、瞑想やヨガなど東洋の身体療法をとりいれようとする医療従事者が増えています。それに対して、非科学的であると反発する人もいます。
しかし、本質は、科学か非科学的かという対立的な問題ではないと思われます。
科学は、目に見えるものだけを大事にしているという言い方をよく耳にしますが、正確には、科学は、目に見えないものをできるだけ見えるようにして多くの人々が共有できるようにする精神の運動であったはずです。その為に、「実験による検証」や「論理」が重視されるわけですが、その普遍性という標準化の圧力が、「個々の事情」を排除しがちな構造を生んでしまうわけです。
目に見えるものだけを頼りにするのも、また目に見えないものが大事だからと開き直ってしまうのも、同様に、思考の膠着状態です。
何をもって人間の救いとするか、治療とするかは、究極、死生観に基づき、死生観は、世界観、宇宙観によって変化します。
単純な例で言えば、死後の世界や輪廻転生があると頭の中で具体的にイメージし、それを心の底から信じていたら、延命措置などとる必要を感じなくなるでしょう。
今でも東南アジアの仏教徒は、にこやかな表情をする顔施(がんせ)も、他人を助け、施しをする布施の一つであり、極楽浄土に達するための大切な切符であると信じているから、そのことを自然に実践して生きています。
心と身体の問題は、ものごとをどうとらえ、どうイメージしているかという頭の問題でもあるのです。
また、心身の治療のために、近年では、聴覚や嗅覚などに働きかけることの効用が見直されていますが(アロマとか音楽療法とか)、視覚の重要性も、もう少し省みるべきでしょう。
目に見えるものを尊重する現代社会においては、視覚の果たす役割は非常に大きく、たとえば、レントゲン写真で肺に影があると見せられただけで、それまで自覚症状のなかった人が、急に落ち込んでしまい、完全な病人になってしまったりします。
ものごとをどうとらえ、どうイメージしているかという頭の変化が、死生観や世界観の変化につながり、それが、救いや治療の変化につながるということもあるでしょう。
病気を発見して病気を治すことが健全であるという現代人の意識はなかなか変わることはないでしょうが、そもそも病気とは何であるかということも、同時に考えておく必要があると思います。
単なる健康と医療のセミナーではなく、また、心身の癒やしの為のワークショップではなく、健康を、人間の心身頭が生み出すコスモロジーの問題として、話し合える場にしたいと思います。
(撮影:今森光彦 風の旅人 復刊第5号の刷り出し誌面より)
第4回 風天塾テーマ
「自然と美意識〜自然から学び、人間力を磨く」
風の旅人の復刊第5号でも特集を組んでいる今森光彦さんは、自然写真家の第一人者であり、切り絵作家としても優れた作品を生み出しています。また、里山という概念を視覚的に広めたことでも知られています。
石田秀輝さんは、地質・鉱物学をベースとした材料科学を専門とした研究者ですが、ネイチャー・テクノロジーを提唱し、具体的な技術開発と物作りを行なって、社会をより良くしていこうとしている実践者です。
お二人の仕事は、簡単な肩書きでは説明できない内容ですが、共通して言えることは、自然との関わりが深いということです。とはいえ、自然と人工を対立的に捉え、人工を否定し、自然を讃美する自然主義者ということではありません。
確かに人間は、科学技術によって自然を人間に都合の良いように利用し、自然を破壊し続け、深刻な環境問題を引き起こしています。しかし、人間が一度身に付けてしまった力や、その恩恵を簡単に捨て去るとは思えません。時間は後戻りできないのです。
だとすれば、人間の力を信じ、その力を思う存分に発揮しながら、人間が作り出した様々な問題を解決する道を探ることが賢明です。その為には、人間よりも遥かに長い時代を生き抜いてきたものから学ぶ姿勢が大事なのです。
人類の歴史は、たかが数百万年ですが、昆虫は、数億年の歳月を生き抜いてきました。そのあいだに、地球上には様々な環境変化による過酷な状況があった筈で、それらを乗りこえる過程で、驚くべき仕組みやシステムを作り上げてきたのです。
しかし、その仕組みやシステムを、そのまま模倣することは不可能であり、傲慢です。なぜなら、いくら科学技術が発展しても、人間は、無から生物を作り出すことができませんし、自然界の創造物は、自らの力が過剰に発揮されて環境に負荷がかからないように制御する巧みな調整力を、長い時間の中で備えているからです。性急さは禁物であり、自然から学ぶことは、時間との付き合い方を学ぶことでもあるのです。
今森さんも石田さんも、自然のすごさを学ぶために、自らの暮らしの形を整えているという点でも共通しています。今森さんは、琵琶湖の傍に広がる棚田の中に仕事場を置き、その周辺を活動拠点にしています。石田さんは、沖永良部島に移住し、自然環境や島の人々の営みを通して命の授業を受けながら、それを自らの創造力の源にしています。
今森さんも石田さんも、そのように自然をベースにした営みを続けながら、自然の本質を捉え直し、リ・デザインして世の中に問うています。今森さんは、写真や切り絵という形で、石田さんは、新しいテクノロジーという形で。
自然にただ寄り添うだけでなく、自然から学ぶことで、総合的な人間力によりいっそう磨きをかけていくことが大事であり、その要にあるものが、精神の方向性を定めていく美意識なのかもしれません。
今回の風天塾では、自然界と人間界のあいだで、極めて”粋”な活動をされているお二人を中心に、話を展開していければと考えています。
第3回 風天塾を開催します。
テーマ:学びとは何か? ニヒリズムと生命力
10月19日(日) 午後1時半開場 2時開演
場所: IMPACT HUB KYOTO(虚白院)→
〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町682 電話:075-417-0115
*京都駅から地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」で下車。1番出口から南(今出川通、同志社大学方面)へ歩き、Daily
Yamazakiを超えてすぐ。徒歩3分程度。
語り手:佐伯啓思(社会経済学)×村瀬雅俊(生命基礎理論)×佐伯剛(風の旅人 編集長)
参加費 A:1500円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入済みの方
B:2000円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入されていない方
*ワンドリンク(ビール)付き。アルコールの飲めない方は、申し込み時に連絡ください。ソフトドリンクをご用意します。
*風の旅人復刊4号のオンライン購入は、かぜたび舎のホームページ、メール、もしくは、ヤフーショッピングでの購入のことを指します。
風天塾への参加希望の方は、こちらよりお申し込み下さい。→
混迷の時代と言われて久しい。ニヒリズムという言葉は、先の大戦後、高度経済成長に無我夢中で取り組んでいた時期を終え、経済成長に行き止まり感が出て、次の目的が見えなくなった頃に既に出ていた。自分達が何をどうしたところで、この世界は変わる筈はないという無気力にとらわれ、自分の利益や楽しみにしか関心を示さないという状況。しかしながら、そのように視野が狭くなり、世の中の変化の表層ばかり追いかけているうちに、本質を見誤り、世の中の変化に翻弄され、結果的に自分の利益も楽しみも失うという悪循環に陥ってしまうこともある。
もう少し時代を遡れば、19世紀に、フリードリッヒ・ニーチェが、「神は死んだ」という言葉で、絶対的な神や絶対的な真実への純粋な信心がなくなって現実の生や世界が無価値で無意味になっている状況を表した。
ニーチェは、そうした状況下で人間が取り得る態度を二つ示した。
1.消極的・受動的ニヒリズム。何も信じられないと諦め、周りの状況に流されるままに生きる態度。
2.積極的・能動的ニヒリズム。自ら積極的に目的を作り出し、それがたとえ仮像であるにしても、一瞬一瞬を一所懸命に生きる態度。
ニーチェは、消極的ニヒリズムを堕落ととらえ、積極的にニヒリズムを肯定し、そのうえで、超人的な意志によって今この一瞬の肯定すべき生を繰り返せるという永劫回帰の思想のもと、めげることなく今この一瞬の為に生きようとし、時代が進むにつれてよくなっていくという西洋的な進歩史観すら否定した。すべての善悪(絶対的であれ相対的であれ)の優劣は人間の主観的な思い込みにすぎず、すべてのものは平等に無価値であるが、その絶対的な無から、新価値を創造することができると考えた。
しかし、そうしたニーチェの思想は、反西欧文明、反権力、平等の為という大義名分のもと、永劫というよりは刹那的な衝動による暴力行為と結びつきやすい。
現在、イラクやシリアで残忍な殺戮行為を繰り返す過激派組織イスラム国に、欧米などから数多くの人々が参加している。こうした過激な活動に参加するのは、かつては生活環境に恵まれない若者が多かったが、現在は、中流・富裕層も多くいると言われる。
彼らがイスラム国に惹かれる理由の一つとして、祖国での退屈な生活から脱け出して、生きる事の意味を取り戻したいからだとも言われる。
日本社会は、そうした人生の退屈を紛らす為に、娯楽と消費のサイクルを早め、それらに意識を捕われることで、ニーチェが説いた”今一瞬の肯定すべき生”の仮像を作り出し、人生における大きな目標の喪失という絶望と退屈を解消しようとした。
パーティ騒ぎのように”今を楽しく”という風潮の中で、深く考える”暗さ”より、何も考えない”明るさ”が良いこととされた。そのようにして、刹那的で自暴自棄な暴力行為を抑制することができた。
しかしながら、経済が順調の時には何とか通用した娯楽と消費による解消策が、長く続いている経済不調によって、次第に雲行きが怪しくなってきた。
安倍政権が声高に唱えている経済優先の政策は、デフレ脱却、賃上げ、消費活性化という狙いだけでなく、年金制度の行き詰まりをはじめ、この国の不確かな未来のことを深く考えず、今を楽しくという空気を維持することで、国民の不満や不安の矛先を逸らせる為の政策とも言える。そうした仮像によるゴマカシや問題の先送りをいつまで続けられるのだろうか。
私たち人間も、生まれて死んで世代交代が宿命付けられている生命体である。であるならば、今日の人間の様々な営みは、果たして、生命本来の在り方から見て、どこに問題があるのだろう。それとも何も問題はないのだろうか?
そもそも生命活動というのは、どういうものか?
この地上に、生命は、実に多彩で複雑精妙なシステムを作り上げており、それは、人類の歴史400万年を遥かに超える歳月のあいだ、連綿とつながっている。
生命界の中の個々の生物は、人間が作り出した機械製品のように部品(部分)と製品(全体)という関係ではなく、全体の在り方が絶えず部分に働きかけ、その影響を受けた部分が全体の在り方を左右していくという相互関係のダイナミズムを備えている。 そして、どんな個でも全体のサイクルを何らかの形で担っているが、その影響力の大小の差は、流れの中でたまたま生じては消えていく渦巻きの大小の違いのようなものにすぎず、悠久の全体から見れば、その一瞬の差は分別するほどのものではない。人間もまた同じだ。しかし人間が他の生物に比べて若干違うところがあり、それは”意識の可塑性”ではないだろうか。他の生物は、物心がついた時に形成されている”世界の捉え方”を修正しながら生きていくということは、ほぼないと言い切れると思う。痛い目にあえば、それを避けるという条件反射のような変化は見られるが、自分の意志によって避けていた対象のことをさらによく理解しようと努め、それまでの自分の態度を改めるという意識変化を起こす生物は存在しないだろう。
簡単に言ってしまえば、”気持ちの持ち方次第”と思うことができる生物は人間だけだ。
そのように意識変化を起しやすい個が集まって全体を作り、その全体からの働きかけで、さらに意識変化を起すというのが人間世界だとも言える。
とすれば、ニヒリズムというものも、そうした過疎的な意識の持ち方の一つであり、そうした意識の集合としての社会や時代の空気であり、さらにその社会や時代の空気が、個人に影響を与えているということになる。
ならば、一体どういう人間の思考の仕組みや、社会の仕組みがニヒリズムをもたらしているのか。ニヒリズムに陥り続けると、生物としてどうなっていくのか。ニヒリズムからの脱出を志向して行なわれているようにも見える各種の活性化の試みが、果たして本当にニヒリズムの呪縛から解放させてくれるものなのか。不安や不満や空虚を、束の間、紛らすために利用されている可能性はないか。
西欧のように絶対的な神や永遠普遍の真理というものを想定せず、万物流転、諸行無常の精神の中で育まれてきた日本の歴史文化は、ニーチェの説く積極的ニヒリズムや消極的ニヒリズムとは異なるスタンスで、ニヒリズムを無化する方法を秘めているようにも思われる。
このたびの第3回風天塾で、経済発展という言葉によって曖昧にされている現代人の心の中に潜むニヒリズムの問題を掘り下げていく議論が出来ればと思います。
日時: 2014年8月30日(土)
開場:午後5時〜 開演:午後5時30分〜午後8時30分
*今回は、第1回に比べて、後ろの時間に余裕がありますので、懇親会形式で、延長線を行なう予定です。
場所: IMPACT HUB KYOTO(虚白院)→
〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町682 電話:075-417-0115
*京都駅から地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」で下車。1番出口から南(今出川通、同志社大学方面)へ歩き、Daily
Yamazakiを超えてすぐ。徒歩3分程度。
語り手:池田
研介(複雑系物理学)×村瀬雅俊(生命基礎理論)×佐伯剛(風の旅人 編集長)
参加費 A:1500円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入済みの方
B:2000円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入されていない方
*風の旅人復刊4号のオンライン購入は、かぜたび舎のホームページ、メール、もしくは、ヤフーショッピングでの購入のことを指します。
風天塾への参加希望の方は、こちらよりお申し込み下さい。→
第2回 風天塾テーマ
「学びとは何か? 〜カオスと科学、芸術〜」
科学者は、この宇宙を貫く規則性を探求してきました。そして、幾つかの重要な法則を発見しました。しかし、この世界には、私たちが日常的に眼にしていながら、その規則性を解明できていないものが多く残っています。例えば、波の動きとか川の流れ、そして、空にたなびく煙など乱流と呼ばれる現象は、その変化していく様がとても複雑です。しかし、我々の眼には不規則に見えても、その振る舞いは、何かしらの統一的な規則によって引き起こされているのではないかと予感させるものがあります。ランダムに変化しているのではなく、一定のパターンがある。そのパターンに、なぜか私たちは美を感じ、心を惹き付けられる。そのように、人智で計り知れないものの、何かしらの規則性によって生じていると感じさせるパターンが、カオスです。
近代科学は、要素還元的なアプローチで、世界の原理を解明してきました。
しかし、その手法は現象のある一要素をスタティックに記述することに長けていても、ダイナミックに動き続ける世界の全体像を捉えることは苦手です。その結果、全体が要素ごとに細分化され、要素ごとに探求する専門家ばかりが増え、各要素の関係が見えにくくなり、全体像がますます複雑化する状況になっています。
多くの人が科学の成果を疑うことのない現代社会においても、まわりを見渡せば大半がカオス状態であり、重要なことが解明できていません。天気や地震などの自然現象だけでなく、株価や為替などの経済指標も、カオスです。心拍や脈拍、呼吸など身体の生理機能もそうですし、それらと連動している可能性がある心の動きもそうです。一人ひとりの人生もまた、就職や進学をはじめ単純な原理で幸福の手引きを行なう言葉が、教育界やメディア社会に溢れていますが、複雑な因果が重なり合ってそのとおりにはならず、想定を超えたダイナミックな展開になっていくのが普通です。
予想の範囲を超えた展開を面白いと感じるか、不安や不快感が募るだけなのか。その違いは、カオスの中に何かしらの摂理を感じるか、それとともただの無秩序と感じるのかによって、生じてくるのかもしれません。
それは芸術作品を見る場合でも同じです。既成概念の枠組みの中に簡単に整理できるものは、人の心を揺さぶる芸術的な力を持つことなく、虚栄を満たす装飾品としての実用価値でしかありません。インテリアとして売りやすい”アート作品”は、その類のものでしょう。
それに対して、「既成概念の枠組みにとらわれず、自由に!」という掛け声のもと雑多な現象をランダムに実験的に提示するだけでは、ただのサンプルの集積になってしまい、そこから新しい世界認識が生じる予感が得られず、けっきょく見飽きてしまいます。
いずれにしろ、方法論は多彩に見えても、その多くが既に言語によって説明され、消費されている既成概念の範疇の出来事です。予想の範疇だからこそ、安心して触れることができ、消費経済に順応できるとも言えます。
もしも芸術が、世界の本質に向き合うものであるならば、芸術もまた、川や雲の流れのようにカオスの生命を宿らせている筈です。
揺れ、うねり、反映し、変動し、形を生み出し、静止し、一新するエネルギーを秘めています。
そして、見れば見るほど新しい部分が見えてくると同時に、世界の核心に近づいていくような予感(決して到達できないものであるにしても)を与えるものが、時代を超えて人々の心を惹き付けてやまなない芸術作品です。
私たちは、学校教育や、マスメディアが発信する情報などを通じて、この世の規則を学んでいきます。しかし、その規則の大半は、誰にとってもわかりやすいように、原因と結果を結びつけやすく、その因果関係をきちんと説明できる標準的なものであることが前提になっています。さらに近年は、政治も含めて、”わかりやすさ”が社会的に重宝されていますので、内容が込み入ったものや、曖昧なもの、関係を説明しずらいものは、どんどんと排除されています。
つまり、実際の現実ではカオスに囲まれて生きていながら、単純化され、わかりやすく整理された説明を現実だとみなし、それを自分の人生の拠り所にしている。
世界と人生がカオスであるかぎり、そうした偏狭な”学び”が、世界と人生を豊かにする手立てになる筈がありません。
テーマ:人間らしさとは何か!?
人類発祥の地アフリカから南米最南端のパタゴニアまで、人類拡散の道を逆向きに人力だけで辿った「グレートジャーニー」や、縄文人と同じ道具だけを使って作り上げた船で、インドネシアから日本まで航海した「海のグレートジャーニー」を成し遂げた関野吉晴さん。関野さんは、学生時代にアマゾンの密林に生きるマチゲンガ続の集落を訪れますが、その体験が、その後の探検家人生の起点となります。必要なものはすべて森と川から取ってきて、自分たちで作ってしまうマチガンガ族。関野さんは、40年にわたって彼らと交流を続けながら、人間がもともと備えていたものと、現代人が失ってしまったものの境を問い続けています。
そして山極寿一さんは、これまでの人生の多くをアフリカでのフィールドワークに費やしてきました。とりわけゴリラと深く付き合いながら、ゴリラの”他者”に対する繊細さやバランス感覚の良さに、人間性の起源を見いだしています。
サルから類人猿、そして人類から現代人に至るまで、何が変わり、何が変わっていないのか。人間らしさとは何なのか? お二人の対話を通じて、人間に対する認識を深める機会になればと思います。(ご参加は、30名程度に限定させていただきます)
日時: 7月20日(日) 開場:午後5時〜 開演:午後5時30分〜
場所: 建仁寺 両足院 http://www.ryosokuin.com/
〒605-0811 京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591
*観光客が出入りする通常の入り口ではなく、南の通用門で受付を行ないます。
*お寺内ということもあり、開演以降のご入場は、お断りさせていただきます。
連絡先(風の旅人 編集長 佐伯): 090-2492-1973
語り手: 関野吉晴(探検家) 山極寿一(人類学、霊長類学者) 佐伯剛(風の旅人 編集長)
午後5時半〜 対話1「旅する人間、作る人間」 関野吉晴、佐伯剛
午後6時半〜午後8時半 対話2:「人間性の起源!?」 関野吉晴、山極寿一
参加費 A:1500円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入済みの方
B:2000円・・風の旅人復刊第4号をオンラインで購入されていない方
*受付時にお支払いいただきます。風の旅人復刊4号のオンライン購入は、かぜたび舎のホームページ、もしくは、ヤフーショッピングでの購入のことを指します。
*風伝塾における対話は、通常の講演会やシンポジウムのように、予め話すことを準備して、聴衆に向けて発表するものではありません。対話者も、参加者も、人の話を聞きながら、自分の中に生じた疑問や、自分の中で深まっていく認識を確認したり、言葉の背後にある考えを汲み取ったり、自分はそれに対してどう感じ、どう考えるのか、話の展開の中で問い直していく場です。
ですので、対話者には、聴衆のことを特に意識することなく、対話そのものに熱中していただきます。その場に居合わせる参加者は、話の内容を全てわかる必要はありません。知識を身につけるのではなく、少しでも自分の中に能動的な思考が目覚め、世界を見る眼差しや意識に変化が生じるきっかけになればと思います。
また対話の途中で、どうしても発言したいこと、確認したいことがあれば、その場で、勇気を持って、割って入っていただいてけっこうです。後でまとめて質問といった形式的なことは行ないません。
風の旅人トーク&懇親会 第4回
ゲスト 野町和嘉、宮内勝典
3月23日(日) 16時から20時
場所 吉祥寺 オーガニックベース
アトリエ間間(教室)
180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町 4-6-8
1F
Tel & Fax|0422-27-8108
地図→http://www.organic-base.com/access/
参加人数:27名限定
参加料:3000円
ゲスト:野町和嘉、宮内勝典 進行:佐伯剛(風の旅人 編集長)
1部 16:00〜17:00 野町和嘉さんの世界。映像による紹介、スライドトーク
2部 17:00〜18:30 野町和嘉さんと、宮内勝典さんのトーク/司会 佐伯剛
3部 18:30〜20:00 懇親会 ドリンク・スナック等有り
お申し込みは、こちらへ http://www.organic-base.com/form/manma140323.htm
*吉祥寺で行なう風の旅人トーク&懇親会は、これが最後になります。
ゲストは、写真家の野町和嘉さんと、小説家の宮内勝典さんです。
国際的な評価も高い野町和嘉さんの大規模な展覧会が、現在、イタリアのローマで行なわれています。半年にわたり、多くの人の注目を集めています。
野町さんは、イスラム諸国を中心に、アフリカ、チベット、南米、インドなど、世界中に足跡を残しながら、過酷な自然の中で生きる人間、宗教、伝統文化など、迫真の映像でとらえてきました。
小説家の宮内勝典さんは、野町さんと同じように、旅する小説家です。アメリカ、インド、ベトナムなど、今日の世界の問題を考えるうえで避けて通れない場所に足跡を残し、また、近代化を拒んでいるような土地も多く訪れ、人間の営みの原点に目を向けながら、今日の人間世界の軋轢の原因となる人間の矮小なエゴを超越する精神世界を探求してきました。
この2人の顔合わせですから、旅のこと、異文化のこと、宗教のこと、現在の世界のこと、それに対する日本のことなど、共有するテーマで、拡がりを持つことができると思います。
スライドショーや、トークの後、軽く飲みながら懇親会もございますので、2人の巨人を間近に感じながら、色々お話をうかがうこともできます。
風の旅人トーク&懇親会 第3回
ゲスト 井津建郎
3月1日(土) 開始:16時〜20時
場所 吉祥寺 オーガニックベース
アトリエ間間(教室)
180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町 4-6-8
1F
Tel & Fax|0422-27-8108
地図→http://www.organic-base.com/access/
参加人数:23名限定
参加料:3000円
ゲスト:井津建郎 進行:佐伯剛(風の旅人 編集長)
1部 16:00〜17:00 前座/佐伯剛 写真の力 写真の可能性
2部 17:00〜18:30 プリント鑑賞&トーク/井津建郎、聞き手 佐伯剛
3部 18:30〜20:00 懇親会 ドリンク・スナック等有り
お申し込みは、こちらへ→http://www.organic-base.com/form/manma140301.htm
今回のゲストは、長年、ニューヨークで活躍し続けてきた写真家の井津建郎さんです。井津さんは、プラチナプリントにおいて世界の第一人者であり、マイスターと呼ばれています。同時に、カンボジアに、地雷などで身体を損傷した子供達を救おうと、アンコール小児病院を設立し、 世界中から寄付をつのるなど、運営を続けてきました。
この大きなプロジェクトを推進しながら写真家としても第一線で活躍を続けてきた井津さん。雰囲気は、静かで優しく穏やかな人ですが、どこにそれだけのエネルギーが漲っているのか、とても不思議です。
井津さんの写真は、これまで何度も風の旅人で紹介してきました。最新の写真は、風の旅人の復刊第3号(47号)で20ページにわたって掲載されています。インドの生と死をみつめ、ベナレスの死を待つ家を中心に構成されたものです。
今回のイベントでは、そのオリジナルプリントを公開します。
私は、これまで数多くの写真プリントを見てきましたが、この井津さんのプリントは、それらのなかでベストの一つです。デジタル写真かアナログ写真かという口先の議論を無化してしまうほど銀塩プリントの説得力を実感できます。
オリジナルプリントをじっくり見ていただきながら話を聞けるという機会は、大きな会場ではなく、こうした小スペースの密着感のある場の方がふさわしいと思います。どうぞこの機会に、井津さんの銀塩プリントの素晴らしさを堪能してください。
井津建郎公式ホームページ→http://www.kenroizu.com/
風の旅人 ホームページ→ http://www.kazetabi.jp/
風の旅人トーク&懇親会
ゲスト 中村征夫(水中写真家)
2月9日(日) 開始:16時〜20時
場所 吉祥寺 オーガニックベース
アトリエ間間(教室)
180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町 4-6-8
1F
Tel & Fax|0422-27-8108
地図→http://www.organic-base.com/access/
参加人数:23名限定
参加料:3000円
ゲスト:中村征夫(水中写真家) 進行:佐伯剛(風の旅人 編集長)
1部 16:00〜17:00 前座/佐伯剛 写真の力
2部 17:00〜18:30 スライドトーク/中村征夫(水中写真家)、聞き手 佐伯剛
3部 18:30〜20:00 懇親会 ドリンク・スナック等有り
お申し込みは、こちらへ→http://www.organic-base.com/form/manma140209.htm
*今回のスライドトークは、中村征夫さんがゲストです。中村征夫さんは、水中写真家として、世界中の海に潜り続けていきました。その中には、極寒の流氷の下など過酷な場所も多数あります。またヘドロで濁った東京湾の生物の営みを追って、30年以上、潜り続けています。
中村さんの凄さは、珊瑚礁の海など多くの人がイメージを共有できる美しさの表現にとどまらず、ヘドロの海であれ、そこで逞しく生息する生物に畏敬と美を感じ、その感覚が写真を通して伝わってくることです。
そうした中村さんの写真は、見る者の固定観念を揺さぶり、だからこそ、ただ綺麗だなと見惚れるのではなく、見ているうちに自分の中の何かが変わるような衝撃と感動を覚えます。
中村さんの作品は、風の旅人で何度も紹介してきましたが、その最新作を、復刊第3号(47号)で紹介しています。
中村征夫公式ホームページ→http://www.squall.co.jp/
風の旅人 ホームページ→ http://www.kazetabi.jp/
風の旅人トーク&懇親会
ゲスト 関野吉晴(探検家)
12月21日(土) 開始:16時〜20時
場所 吉祥寺 オーガニックベース
アトリエ間間(教室)
180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町 4-6-8
1F
Tel &
Fax|0422-27-8108
地図→http://www.organic-base.com/access/
参加人数:20名限定
参加料:3000円
ゲスト:関野吉晴(探検家) 進行:佐伯剛(風の旅人 編集長)
1部 16:00〜17:00 前座/佐伯剛 ミニマムの時代の出版
2部 17:00〜18:30 スライドトーク 関野吉晴(探検家)、聞き手 佐伯剛
3部 18:30〜20:00 懇親会 ドリンク・スナック等有り
お申し込みは、こちらへ→http://www.organic-base.com/form/manma131221.htm
*今回のスライドトークの内容は、関野さんが40年間、通い続けているペルー・アマゾンのジャングルで、狩猟採集の営みを続けるマチゲンガ族に関する話(風の旅人の復刊第1号から連載中)です。
南米大陸最南端からアフリカのタンザニアまでの53000kmを、カヌーや自転車など人力だけで辿った「グレートジャーニー 人類400万年の旅」や、最近では、手作りの丸木舟の縄文号でインドネシアから日本への航海を成功させた関野吉晴さん。関野さんの探検家人生は、40年以上も前、マチゲンガ族との出会いから始まりました。出会ってから40年、ほぼ毎年のように通い続けている関野吉晴さん。関野さんは、なぜそこまでマチゲンガ族に惹き付けられているのでしょう。
関野吉晴公式ホームページ→http://www.sekino.info/
風の旅人 ホームページ→ http://www.kazetabi.jp/
11月17日(日)AM10:00〜
品川区立中小企業センター
「コラボ・トーク 伝えたいこと。」
2013年11月13日(水) 19時〜 かぜたびナイト第8回開催
風の旅人 復刊第1号(45号)で、日本の地下世界を紹介した内山英明さんと、スライドショーおよびトークショーを行ないます。
11月13日(水) 開場:19時 開演:19時半
場所:荻窪の六次元
〒167−0043 東京都杉並区上荻1−10−3 2F 電話:03-3393-3539
*かぜたびナイトに参加ご希望の方は、件名を『かぜたびナイト 内山英明さん』とし、お名前、人数、お電話番号を明記の上、http://www.6jigen.com/ までお申し込みください。
●入場料2300円(1ドリンク+風の旅人復刊1号か復刊2号。復刊1号か2号をお持ちの方は、16号〜42号までお好きなもの。申し込み時に、その旨をお伝えください)
内山さんの写真は、これまで何回も風の旅人で紹介してきました。内山さんは、20年にわたって日本の地下世界を撮り続けています。とくに、2011年3月11日の震災後は取材が難しくなった核融合や原子力研究の地下施設を、内山さんは、3.11の震災の直前まで撮影し続けていました。
地下では、科学の最先端の研究が行なわれています。最先端の研究は、人類にとって未知なことも多く、未知なものに対して、人間は恐れます。だから、住宅街の近くではできない。そのほとんどが、人目につかない地下で行なわれているのです。
この内山英明さんの写真は、岐阜県飛騨市神岡町(旧吉城郡)神岡鉱山内の地下1000メートルのところに建設されたニュートリノ検出装置、スーパーカミオカンデ。50,000トンの超純水を蓄えた直径40m、深さ41.4mのタンクと、その内部に設置した11,200本の光電子増倍管。
2001年11月12日11時01分という、0と1と2の数字が並ぶ時、光電子増倍管の70%を損失するという大規模な破損事故が発生しています。
ニュートリノは、宇宙の彼方から飛んでくるものですが、スーパーカミオカンデでは、人工的に作り出されたニュートリノも使って研究しています。というのは、宇宙から飛んでくるニュートリノをキャッチできるのは極めて稀で、それだけだと観測実験ができないからです。
人工的ニュートリノは、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)の加速器を用いて作られ、そこから250km離れたスーパーカミオカンデに向けて発射し、スーパーカミオカンデでこれを観測する。配管とか電線があるわけではなく、地中を、ニュートリノが飛んでいく。ニュートリノは、人間の身体も地面もすり抜けていく。しかし、高エネルギーであることは間違いない。
スーパーカミオカンデの2001年の大事故は、25億円という莫大な修復費が必要だった。
日本の地下には、スーパーカミオカンデに限らず、レーザー、核融合、スーパーコンピュータ、バイオテクノロジーの研究をはじめ、様々なミステリアスな研究施設が無数にあるが、ほとんどの日本人は、その事実を知らない。
内山英明さんは、もうかれこれ20年も前から、それらの最先端の世界を写真に収め続けてきた。
内山さんが撮った日本の地下世界を見ると、人類は、いったいどこまで、どこに向かって走り続けるのだろうと、ちょっと恐くなる。その探求心こそが、人類の証であるとも言えるし、奈落の絶壁に向かって殺到するネズミの群れのようにも思えてくる。
2013年9月29日(日) 19時〜 かぜたびナイト第7回開催
風の旅人 復刊第2号(第46号)で日本の動物の写真を20ページにわたって紹介している動物写真家 前川貴行さんとトークと、スライドショーを行ないます。前川さんのホームページは、こちら→http://www.earthfinder.jp/
動物写真家といえば、星野道夫さんとか岩合光昭さんが有名。でも、その後の世代となると、なかなかいない。
コンスタントに野生動物の写真を撮り続けることは、簡単なことではないからだ。
そういう状況のなか、前川貴行さんは、新しい世代を代表する動物写真家。アフリカやアラスカをはじめ、世界中に足跡を残しているが、風の旅人でも紹介した日本の野生動物には、彼ならではの優しさと、厳しさのまざりあった眼差しを感じる。
ちょっと前までカメルーンを取材してきたばかりの前川さんを迎えて、撮影秘話などもお聞きしたい。
9月29日(日)、かぜたびナイトに参加ご希望の方は、件名を『かぜたびナイト 前川貴行さん』とし、お名前、人数、お電話番号を明記の上、
http://www.6jigen.com/ までお申し込みください。
●入場料2300円(1ドリンク+風の旅人復刊1号か復刊2号。復刊1号か2号をお持ちの方は、16号〜42号までお好きなもの。申し込み時に、その旨をお伝えください)
2013年9月22日(日)17時〜
米原市の古ゞ屋(ここや)柏原西町で、対談を行ないます。米原市柏原2120
http://hitoma3.blogspot.jp/2013/09/blog-post_8121.html
テーマは、ー変わらぬものー
お相手は、滋賀県長浜市にて真宗大谷派本徳寺のご住職をされている大村治氏です。釈迦の教えや親鸞の言葉から謙虚に学ぶ場を定期的に設けられ、毎月便りを発刊されています。地域の子ども達と一緒に野菜の自然栽培、果樹園の提供、キャンプといった関わりをもたれ、「教え」を足元から実践されています。
関西方面でご関心のある人は、ぜひお越しください。場の雰囲気も面白そうです。
お問い合わせは、こちらまで。→
http://hitoma3.blogspot.jp/2013/09/blog-post_8121.html
2013年8月3日(土) 19:00〜 かぜたびナイト 第6回開催
荻窪の六次元で行なっている「かぜたびナイト」第六回目の開催が決まりました。
8月3日(土)19:00開場、19:30開演。
トークのお相手は、写真家の広川泰士さん。広川さんは、広告写真の中では日本でトップクラスの人で、ドコモをはじめ、とても個性的な表現をされていますが、広告で稼いだお金を全て自分の作品作りに投入するほどの勢いで、広川さんならではの表現世界を築いてきました。写真家として、一つの理想の姿だと私は思っています。
自分の作品づくりの中では、広川さんは、8×10の大型フィルムカメラをかついで、世界中に出かけていきます。とくに印象的だったのは、風の旅人の第4号でも紹介しましたが、巨石と星の写真です。オーストラリア、アメリカ、ユーラシア大陸、アフリカなど各大陸の荒野に足の伸ばし、野営を重ねながら、15年くらい岩と星を長時間露光で撮り続けていた広川さん。せっかく、アフリカの端にあるナミビアまで行っているのに、岩と星だけ撮って、有名なナミブ砂漠やエトーシャ動物公園には立ち寄らずに帰ってくる。そういうところが潔くて、私は好きです。
この写真は、風の旅人 復刊第二号で紹介している富山県の南砺市の合掌造りの村です。春夏秋冬と一年を通じて通いながら、桃源郷のような世界を映し出しています。
8月3日(土)、かぜたびナイトに参加ご希望の方は、件名を『かぜたびナイト 広川泰士さん』とし、お名前、人数、お電話番号を明記の上、
rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp までお申し込みください。
●入場料2300円(1ドリンク+風の旅人復刊1号か復刊2号。復刊1号か2号をお持ちの方は、16号〜42号までお好きなもの。申し込み時に、その旨をお伝えください)
3F Anniversary SPECIAL TALK EVENT
佐伯剛(風の旅人 編集長)VS 北義昭(写真家)
日時:2013年7月12日(金曜)19:00〜 場所 京都 3F Project Room
7月12日(金)19:00〜 京都の3F Project Roomという所でトークショーを行います。お相手は、写真家の北義昭さん。北さんの写真は、現在、発売中の風の旅人 復刊第2号(46号)で紹介しています。子供達の神秘的な眼差しが印象的です。お申し込みは、直接、3F Project Roomまで、お願い致します。
→http://www.3-gai.com/?p=362
大阪写真月間2013 シンポジウム
2013年6月22日(土)に大阪芸術大学ほたるまちキャンパスでシンポジウムを開催します。
「旅×写真=無限大」
講師:百々新氏(写真家)、佐伯剛氏(雑誌「風の旅人」編集長)
開催日時:2013年6月22日(土)15:00~17:30(受付開始は14:30)
会場:大阪芸術大学ほたるまちキャンパス
〒553-0003 大阪市福島区福島1-1-12 TEL 06-6450-1515
入場無料
詳しい内容、お申し込みはこちらまで
→http://shashingekkan.com/?p=1272
かぜたびナイト第5回
2013年6月19日(水) 19:00開場 場所:荻窪 六次元
●今回のゲストは、旅する写真家、齋藤亮一さんです。風の旅人では、第4号(2004年10月)で、激動する中国、第24号(2007年2月)で、キューバ、第29号でアンコールワットなどを紹介してきました。そして、この6月1日に発行される復刊第2号では、巻頭の日本のコドモ達の写真を20ページにわたって紹介します。
齋藤さんは、上記の場所以外にも、ロシア、バルカン、フンザなど、地球上の様々な地域で、人々の営みを優しい視線で捉えてきました。
今月号のコドモ達の写真も、長い間、日本国内を旅しながら撮影してきたものです。
旅と写真について、お話を伺えればと思います。
トークショーでは、世界中のコドモ達のスライドショーも行います。
●入場料2300円(1ドリンク+風の旅人復刊1号か復刊2号。復刊1号か2号をお持ちの方は、25号〜44号までお好きなもの。申し込み時に、その旨をお伝えください)。六次元まで直接お申し込みください。http://www.6jigen.com/
|
かぜたびナイト第4回
2013年5月6日(月) 19:00開場 19:30開演 場所:荻窪 六次元
●屋久島に惚れ込み、住み着いて20年以上になる山下大明さんと、風の旅人 佐伯剛がトークショーを行います。屋久杉など屋久島を代表する生態は撮り尽くしてきた山下さん。近年では月光のもと、屋久島の豊かな照葉樹林の中のいのちの営みを撮り続けています。トークショーでは、スライドショーも行います。
●入場料2300円(1ドリンク+風の旅人復刊1号。復刊一号をお持ちの方は、25号〜44号までお好きなもの。申し込み時に、その旨をお伝えください)。六次元まで直接お申し込みください。http://www.6jigen.com/
|
山下大明さんについて、http://kazesaeki.tumblr.com/post/48121860432/5-6-19-00-4
山下大明さん プロフィール http://www.eye-witness.jp/profile_yamashita.html
3月15日(金)荻窪の六次元で、第3回 風の旅人ナイトを開催します。お申し込みは、こちらまで→http://www.6jigen.com/
ゲストは、写真家の水越武さんです。
水越さんの自然写真は、際立っています。日本に自然写真家は大勢いますが、国内では人気が出ても国際的に名の通った人はさほどいませんが、水越さんは、間違いなくその一人です。風の旅人でも何度も紹介してきました。
水越さんの眼差しで切り取られた自然の厳しさと美しさが、胸の奥深くを貫きます。
水越さんは、存在それじたいが仙人のようであり、決して饒舌ではありませんが、その一言一言に重みと深みがあります。
六次元のような密度の濃い空間だとよりいっそうその存在感とオーラを感じていただけることでしょう。
ふるってご参加ください。
風の旅人 編集長 佐伯剛
風の旅人ナイト 第2回
2013年2月12日(火)7時開場 7時半開演〜
佐伯剛(風の旅人編集長)×岡原功祐(写真家)
私が、若手写真家で最も期待している一人、岡原功祐君。風の旅人 復刊第一号でも、フクシマの写真を紹介しています。岡原君は、アメリカなど海外で評価の高い若手写真家。世界の中の日本〜写真表現の行方〜 という大きなテーマで語り合います。
*お申し込みは、予約:件名を『風の旅人ナイト第2回』とし、お名前、人数、お電話番号、を明記の上、rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jpまで。
風の旅人ナイト 第1回 イベント開催!
2013年1月9日(金)
場所:荻窪 六次元
http://www.6jigen.com/
〜テーマ〜
大いなる旅
出演/関野吉晴 田口ランディ、佐伯剛
お申し込みは、こちらまで。
→http://rokujigen.blogspot.jp/2012/12/1.html?spref=tw
2012年12月1日
風の旅人 復刊第1号(第45号)を発行しました。
長野県大町の木崎湖畔という素晴らしい場所で、原始感覚美術祭2012が開かれます。そのオープニングイベントで、茂木健一郎さんと私でトークをします。
原始感覚美術祭は、頭でっかちの現代アートではなく、身体の潜在的な力を解放する根元的な表現がたくさん集まって、大いなる場の力を発揮する絶好の機会。上半身にばかり力が入って前のめりになって目前の困難という川に何度も落ちるばかりで対岸の未来に届きそうもない今日風の表現や思想ではなく、肩の力を抜いて退けるところまで退いて、勢いをつけて、未来の岸へと川を飛び越えていこうとする思想や表現の集まり。未来は、現在の延長ではなく、現在を飛び越えたところにある。原始感覚美術祭では、そういうことをきっと体感できる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<原始感覚美術祭オープニングイベント>
「FIND THE ROOT -これからの社会、表現、生き方を根源から問う-」
脳科学者・茂木健一郎×『風の旅人』編集長・佐伯剛 対談
8月4日(土)14:30~16:30
※同日大町市街でやまびこまつりが開催されます。
会場 薄井商店
参加費 1500円(パスポート代込み)
詳しくはこちらまで
→http://primitive-sense-art.nishimarukan.com/event2012.html
2012年7月23日
(株)かぜたび舎を設立しました。
2012年12月1日に風の旅人を復刊できるように、準備していきます。
2012年7月20日
(株)ユーラシア旅行社の専務取締役を辞任しました。1992年、30歳の時から20年間、この会社に在籍しました。2001年4月に株式を上場。これからという時に、9.11のニューヨークテロがありましたが、それを機に、風の旅人を創刊準備を始めました。40歳の時です。9.11テロから10年経った2011年3月11日に東北の震災があり、風の旅人を休刊。
そして、50歳になった今、風の旅人を新たに復刊させる為に、7月23日に、(株)かぜたび舎という新会社を設立します。
これからが、自分の真価が、よりいっそう問われるのだと思います。私個人だけでなく、日本社会にとっても、2012年から2013年は、真価の問われる時期なのだと思います。
細江英公さんをはじめ、色々な巨人に、全面的に協力するよ、と言われて、非常に有り難いと思うとともに、だからといって具体的に何かをやっていただいたり助けを求めるということではなく、そのように巨人達に見守られているということを自分の力にして、また自信にして、どんなに困難であっても前向きにやっていこうと思います。
2012年6月17日
ホームページを制作致しました。
2011年10月1日
2003年4月に創刊号を発行していらい、44冊を作り続けてきた風の旅人を、2011年10月に発行の第44号をもって、休刊することにしました。
2003年4月1日
風の旅人の創刊号を発行しました。